設計:黒松潤二(九州大工塾2期生)
施工:棟梁:山本𠮷則棟梁 サブ:斜木義文棟梁
土壁:田崎龍司左官 田崎湧也左官
床面積:96.88㎡
構造:木造平屋建て
竣工予定:2022年5月頃
建設地:鹿児島県
先の投稿から3カ月。外壁を張り終えました。
竣工まであと少し。
鹿児島県大隅半島の東側に位置し太平洋が一望できるとても眺めの良い敷地です。一年中、日の出が水平線から上がることもありお施主さんはこの敷地を選ばれたそうです。
プランニングにあたってはこの眺望を活かすという事を最優先しました。
具体的には2.5間×6.5間(32.5帖)の大きなLDKを海側に配置し、跳ね出し梁と桔木を用い東面と南面は外部側に柱を建てることなく5尺軒を出しました。
大きな空間は構造的に弱点になる場合があるので、跳ね出し梁と兼用で7m材を8本用いこのLDKの大空間内の梁間方向には梁の継ぎ手を設ける事を避け、屋根の野地板には水平構面として断熱兼用で45ミリ厚の杉板本実加工を野地板として使用しました。また南側には1.5間の開口が3カ所もあるので、敷桁のたわみを抑えるため8m材を使用することとしました。なお通常網戸は硝子戸の外側に配置しますが、いつでも手軽に外せる様室内側に配置することとしております。
花崗岩の岩盤が浅い層でも見つかる地域であり、林の中の丘の頂上部分を切土により造成された敷地です。手回しのスウェーデン式サウンディングにより地盤調査を行った所、予想通り4t/㎡以上耐力がある事が確認されました。
都市計画区域外で建築確認申請も必要ありませんでしたが、都市計画区域内でも同様の建物が建てれる様、壁量計算とともに許容応力度計算にて建物の安全性を確認しました。
基本軸組は手加工としましたが、土台と母屋は手間の割には手加工のメリットが少ないのでプレカット加工としました。込み栓を角ではなく丸としたのも同様の理由です。
使用する素材は役目を終えたら土に還るものを基本としました。浴室の腰窓もアルミサッシを使わず、杉、檜、御影石を組み合わせ作成したのもその理由からです。
この建物の建築に携わらせて頂き、素材のこと、人としての生活、春夏秋冬、太陽、風雨、湿気乾燥など再度見つめ直す機会になりました。その上で感じた事は「人も生かされている」という事でした。
(黒松潤二)
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