2021年6月9日

設計:菅家太建築設計事務所(菅家太)

施工:木村建設(大工/木村祥悟)

製材:木下林業(木下真利)

構造・規模:木造平屋/延床面積:80㎡/用途:事務所/竣工予定:令和3年11月

 

これは製材所内にあるチップ工場の様子です。

山から出てきた原木が土場に置かれています。種類も太さもいろいろな雑木が混ぜこぜですが、よく見ると、右奥のほうに結構な太さの広葉樹もあります。原木を粉砕してつくられるチップは、製紙原料やバイオマス発電などに利用され、その利用は比較的短命なものです。特にバイオマス発電の燃料は燃やしてしまえばそれでオシマイなので、本来、間伐材の利用を前提にしていたはずですが、実状は、大径木も含め、十把ひとからげで山から出てきて、チップに製造されているのは全国的に特別なことではないようです。

雑木の山を、宝の山に。

「これを毎日見ていると、感覚がおかしくなる。」木下林業の木下さんは言います。原木に見合う、価値のある使い方を模索し、いまでは壁材や床材を製造しています。簡単そうですが、流通の大勢と異なることを単独で実行するのは、言うは易し、行うは難し、です。

ならばと、大工の木村さんと私は広葉樹(ナラ)を外壁に使うことを提案しました。現在、そのための準備が進められています。張り方は目板張り。板巾は3種類のランダム。木下さんが作ってくれたサンプルを見ながらひとつひとつ確認をしています。

こちらが、外壁用の板をとる原木たち。

風雪に耐え、経年変化を積み重ねていく外壁の姿を想像すると、楽しみで仕方がありません。

(菅家)